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ことばのちから

世界は言葉でできている。

土木学の意義

 2005 年 6月の土木学会誌で「コードとしての国土学」を特集している。企画趣旨の中で「社会を秩序立てている基本規則のことを『コード(CODE)』という。人間社会のコードは法学が、空間社会のコードは土木学が研究対象である。社会基盤整備の新しい基本規則をつくり上げることを目指し、国土学として新しい『知』の体系を構築していく。わが国の『知』の体系は思考と実践からなる。土木学は国の形を規定する社会基盤の中心的な『知』の学問体系である」と述べている。

 次に土木学とは何か、既に土木学会誌1991 年1月号の「土木学に向かって」(河田恵昭、当時京都大学防災研究所助教授)において科学を“実のなる木”の幹とすれば技術は“実”に相当する。近代科学の解決できなかった問題は形而上学の対象となる問題として累積することになる。形而上学の根、科学の幹、そして技術の実からなる哲学という土木の木を成長させることを忘れてはいけない。社会の多様化に対応した土木工学とその基礎となる科学、そして宗教観を含む形而上学からなる哲学の一つの系の再興しかあり得ない。その世界は Cosmos であるとして土木学(Civil Cosmos)を提言している。

 土木学は単に土木工学という工学ではなく、人間が自然の一員として、いかによく生きるかを思索し、実践する学問である。従って、土木学は土木工学を中心により広い学際分野を統合した学問である。即ち、科学、哲学、倫理学、社会学、政治・経済学、文学芸術等を内在する学問である。そして、目的を考えれば自然と社会に貢献するという公共の心を持つことを基本理念とする学問である。「土木学」の進展に際して、土木学が自然・社会の諸現象の中で本質的なものを探求する議論を展開し、社会に貢献できるよう努力するべきと考える。

第44回論説(2) 土木学の意義 | 土木学会 論説委員会