ことばのちから

世界は言葉でできている。

半沢直樹部長、出向先の部下に贈る言葉

では部長、一言お願いします。

わかった。


そうだな。勝ち組、負け組という言葉がある。
わたしはこの言葉が大嫌いだ。
だが、私が銀行からここに赴任したときによく耳にした言葉、「銀行は勝ち組」、「俺たち子会社の社員、プロパーの社員は負け組だ」とか。
それを聞いてもちろん反発するものもいたが、大半は自分はそうだと認めていた。

だが、今はどうだ。君たちは大銀行が総力を挙げても成し得なかったことを成し遂げた。負け組だと思っていた君たちがだ。
大企業にいるからいい仕事ができるわけではない。どんな会社にいても、どんな仕事をしていても、自分の仕事にプライドをもって、
日々奮闘し、達成感を得ている人のことを本当の勝ち組というのだと、俺は思う。


ここは若い会社だ。君たちは40台から20台。大半は就職氷河期で苦労した人間だ。そうした事態を招いたバカげたバブルは、自分たちのためだけに仕事をした連中が顧客不在のマネーゲームを繰り広げ、世の中を腐らせてできた。


その被害を被った君たちは、俺たちの時代と違う見方で組織や社会を見ているはずだ。
そんな君たちは10年度、社会の真の担い手になる。君たちの闘いはこの世界をきっとよりよくしてくれるはずだ。
どうかこれからは、胸を張って、プライドを持って、お客様のために、働いてほしい。
たとえ相手が銀行でも遠慮することはない。君たち世代の逆襲を、いや、君たちの倍返しを、私を心から期待している。