ことばのちから

世界は言葉でできている。

昨日の自分を超えていく

世阿弥の教えで私が最も感じ入ったのは、自己更新という考え方です。人間は常に自分自身を成長させる努力を続けるべきだと世阿弥は言います。少し厳しく聞こえるかもしれません。一方で、「他人と自分を比べてくよくよしなくていい」ということでもあります。そう考えると、少し肩の力が抜けて、心が軽くなりませんか。
要は「昨日の自分を超えていく」ということです。他人と比べるのではなく、昨日の自分がライバル。
今日の自分がどんなに格好悪くても、明日の自分が今日より一歩、前進していればいい。だから人生に失敗なんてない。すべての経験は明日をよりよく生きるための糧だと考える。言い換えれば、「自分史上最高」を常に目指していく生き方です。

高田明と読む世阿弥、P7 より