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ことばのちから

世界は言葉でできている。

創造はねつ造の一歩手前

――イノベーションをマネージメントするうえで、数あるアイデアの中から、どれを推進し、どれを却下するのか、どのように判断すればいいのでしょうか。

小林 アイデアを出してきた若手に本質的な質問を投げかけることです。そうすることで、その若手がどれほど熟慮してきたか、どれだけ真剣に考えているかを見抜くことができます。繰り返しますが、まだ見ぬ価値を生み出そうというのですから、内容の良し悪しで判断しようとしてはいけません。

 私がエアバッグについて説明したとき、久米専務から「高信頼性確保のキー要素は何か」と聞かれました。予期せぬ質問でしたが、「故障の極小化、故障時に最低性能を保持、故障の予見性」となんとか3つ挙げました。すると専務は、すかさず「では、4つめと5つめは何か」と尋ねてきます。答えられずにいると、専務は「何も分かってないな」と言うと、「ほんとにこの人に開発を任せておいて大丈夫なのか?」とつぶやきながら部屋を出ていきました。打ちのめされた気持ちでした。でも、こうした質問をすることで、熟慮することが大切だと教えてくれたのだと思います。

 イノベーションにおける熟慮とは、要素を無数に挙げて、それらを整理しながら、最終的にいくつかの本質的な要素にまとめ上げることです。そうすることで、物事の本質を捉えることができるのです。



創造はねつ造の一歩手前です。「確かにそういうことあるよな」といった暗黙知を見つけること、それが新しい価値のヒントになります。既に存在しているものでは創造とは言えません。かといって、まったく無いことを言ったらウソになります。「無いに近いけれど、あってもおかしくない」というところがポイントです。

アイデアは若手に任せろ 日本車初エアバッグ開発者