ことばのちから

世界は言葉でできている。

発散と自立

 カシオで電卓担当だった羽方将之元常務は「設備投資がかさむデバイス内製化を断念、機能開発に絞った」と語る。ゲーム電卓に関数電卓、プリンター付き電卓と新機種を出し続けた。電卓から派生した電子辞書でもカシオは過半のシェアを占める。「止まれば陳腐化する」と羽方氏は言う。

 経営指針を「選択と集中」とする企業は多いが、ヤマハ発動機で産業用ロボットを新規事業で立ち上げた戸上常司元社長は「発散と自立」を説く。他社がやらぬいろんなことを、ニッチ市場で、自らの体力に見合う範囲で試す。ニッチ市場は次第にメジャーになり、人員が増えて安定事業になるという経験則だ。

(経営の視点) 明暗分かれた電卓の双璧 シャープの道、カシオの道