科学も工学も万全ではないが、思想・意見の多様性に幅が小さいマスコミやマスコミに誘導された国民は「100%とか絶対安全」といった要求や結果論での責任糾弾だけで、客観的事実公表による冷静な議論や判断の障害となっている。社会基盤整備では国民のコンセンサスが不可欠であるが、一般人やマスコミが要求する 100%の安全はないことを理解してもらうべきだ。無論、技術者として「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く伝える」努力を怠ってはならない。
今回の災害を契機に、白か黒かといった不毛の議論に終始せず、解決に向け実質的で冷静な議論ができる日本に変ることを切望する。正当に評価されるべき社会資産が、マスコミというレンズを通すと国民に伝わらない国家的不幸を嘆いても状況は変わらない。解明されていることは勿論のこと解明されていないことも敢えて公表し、マスコミと国民に真正面に向き合い、道理と正論を説こう。